TVの業界で働く為に上京して、間もなく3年が経つ。
かつて、自分は大阪の専門学校に通っていて、その当時の仲間は、今やほとんどTVの業界ではなく別の道に進んでいる。
その中で唯一、同期の内田君は現在フジテレビの某番組でADとして頑張っている。今回はそのウッチーこと内田君の事を書く。
ウッチーは一言で言うとデブだ。
デブ。DEBU。
甘いものは嫌いだがデブ。
でもガムは好き。デブだ。
大概の人は、彼を一目見たらデブだと脳に信号を送る。
デブの明確な基準は無いが、まだ生後間もない赤ん坊が彼を見ても「デブだ」と言葉を放つし、今、この文章を読めるほどの視力をお持ちのあなたならきっと、2500mほどの距離であれば、彼を視界に捉えるとデブと認識出来る。
そのくらいのデブ。俗にいうデブなのだ。he is the fat man
しかし、その愛くるしい風貌に加え人柄もいいものだから、
仲間内(※男限定)には大層な人気がある。
とにかくデブをネタにしてもキレない。優しい漢なのだ。
ADというのは上司であるディレクターにボロクソ言われることも多く、
自分みたいな器の小さい男は、よくムカついているがウッチーは違う。
怒らない。
以前ウッチーにこんなことがあった。
バラエティー番組のロケで「とある芸人」を密着するという企画で、
ADの手違いで芸人を1人でラブホテルに宿泊させてしまうことになる。
その結果、芸人は1人さびしくラブホで過ごして朝を迎えるという台本。
オチの部分である、芸人が1人ラブホで朝を迎えるというシーンの撮影を任されたウッチーは時間経過が分かる様に夜中、朝焼け両方のシーンでホテルの窓際にたたずむ芸人の撮影に、「ホテルを挟んだ向いの路上」からトライしたのだが、その夜中に事件は起きた。
ラブホテルの前で三脚を立てレンズを覗き窓際を追うウッチーに背後から、、
「おい、何をしてるんだ!」の声。
そう警察官の登場だ。
「番組の名前を出すわけにはいかない」と思ったウッチーは間髪入れず
ウ「イヤ、何もないスよ」
警「そんなわけないだろう!そのカメラは何だ」
ウ「何もナイッスて」
警「いいから見せなさい」
ウ「……」
押収されるカメラとテープ。その場で再生、プレビュー。
…そこには窓にズームしたり、パンしたりと必要以上に何か意図が見えるカメラワーク。
増える疑惑に震えるデブ。
「終わった」と思ったに違いない。
しかし警察は続ける。
警「君、素人じゃないだろ。許可は取ってるのか?これは盗撮といって、、、」
容赦ない国家権力に完璧な物証を挙げられ、言い返さないデブ。
その後、ウッチーは前足に手錠をかけられ文字通りブタ箱に連行。
ポケットではディレクターから経過を尋ねる電話が鳴り響く。出れるはずも無い。
署に着き事情徴収が始まり、責任感からか身元を明かさず、ただひたすら場が収束する事を願うデブ。
しかし国家権力は犯罪者(?)にはキツく、彼の持ち物からヒントを得て実家へTEL。そこでようやくテレビ番組を制作していることが分かり、何とか便宜を図ってもらい釈放されたウッチー。だがその時には既に日は昇り朝10時。
そこにディレクターの電話。
さあすがに心配した様子で「何かあったのか?」と聞いてくる
「いや実は××が××で、、、」と事情を説明する。
そこでディレクターが一言「それはお前大変だったな、、、で、朝焼けは?」
ウッチはーは怒らない。
この状況で怒らないウッチー。ただのデブじゃないことが窺い知れよう。
そんなウッチーに一度「キレたことはないの?」と聞いた事がある。
その時に彼はこう答えた。
『昔さ、風邪をこじらせ病院に行ったんスよ。そしたら医者からは「とにかく甘い物を控えなさい」とかってさ!いや、俺甘いの苦手なんだから食わないっつてんだよ!!あん時はキレたっすわ』
これからもがんばろうぜ☆ ウッチー!
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