2011年9月8日木曜日

♯011 こ <高円寺/こうえんじ>


 
 高円寺に住んで間もなく3年になる。こっちの会社に勤めるとき、総務の人に相談した所、中野や高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、あたりを薦められた。
会社からのアクセスが良く、若者が多く住んでいるということだった。
個人的に、住む場所にこだわりは無かったのだが、自分の知る映画や曲の中で圧倒的に「高円寺」という地名がなじんでいたので選択した次第である。

映画で言うと、敬愛なるみうらじゅん氏 原作の「アイデン&ティティ」や是枝監督の「誰も知らない」なるほど、好きな映画ばかりである。
(個人的に少年メリケンサックはつまらないので擧げないよっ☆)

歌で言うと筋肉少女帯や銀杏BOYZの曲のタイトルにも高円寺の名前がついているものがあり、小説だと読んだ事無いけど村上春樹、山崎ナオコーラの作品にも
高円寺が舞台のものがあるようだ。

 特に引っ越しを考えるような事もなく、もう3年が過ぎた。
どうやら、いつの間にかこの街を特別な空間と捉える様になっていた。
それは美味しい沖縄料理の店がある訳でなく、美味しいラーメン屋がある訳でなく、本棚が安い雑貨店があるからでもない。
 
 午前0時過ぎ、日付が変わった頃。道行く人を眺めてみた事がある。
駅前、ロータリーに向かえばギターを持った男がへたくそな歌を歌い、
その先には自転車をアクロバティックに乗り回す、意味の分からない英文がプリントされたシャツを背負う若い男、世の全ての不幸を背負ったような顔をしている、化粧の崩れたピンサロ嬢。南口のマクドナルドの出入り口をにらみ続けるナンパ男。
冴えない夜が心地よく、夜に傷を付けるような刺々しい感情が渦巻いている気がする。ノスタルジーが加速する。

やっぱり引っ越す理由も無い。

友人に連れられ、オードリー春日の家の下まで行ったことがある。

それこそ、5秒で描けそうなボロアパート。

なんとググれば住所がヒットし、いいともの収録の日は近くの中学生が「今日、いいともだよー」と起こしにきたりすらしい。
プライバシーを全世界に開放している彼だが、どうやら引っ越すつもりはないらしい。
 不遇の時代を経て、全国的な知名度を獲得し、夢を叶えた彼が安いアパートから長年、引っ越さない理由はきっと「お金がかかるから」とかそんな理由でないと思う。
案外、真夜中のロータリーでつたないラブ&ピースを歌う、若者と同じ様な感情をこの街に抱いているかもしれない。

余談だが、ググれば自宅がヒットするなんて彼か天皇陛下くらいではないかと思う。

(おまけ) 
1年以上前のものだけど以前高円寺に住んでおり、先日バンドの解散を表明したぶっちぎりの天才毛皮のマリーズの志磨遼平(Vo)のインタビュー

こういう考え方を持ってる人好き。







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