2011年8月29日月曜日

♯010 け <毛税/けぜい>

 3/11の東日本大震災を受けて「復興税が新たに徴収される」とかの話があったのだが、あれは今どうなってるのだろう。
まだまだ議論の余地があり、本格的に施行されるのは時間がかかりそうだ。
個人的には「用途の透明性」がはっきりと見えれば、文句もそんなに出ないのではないのかと思う。
再び騒がれているタバコの増税や酒の税金も、「クリーンな形」で東北に少しでもお金が届くのであれば、こういった対応も致し方ないのではと思う。
 しかし、それにしてもこういった、税制などの仕組みを全て政治家に任せるのは納得いかない所がある。
なんとなくインチキ臭いような政治家が多いので、今日は自分から1つ提案させて頂きたい。

それが「毛への課税」である。

毛の手入れ具合は、裕福さにある程度比例するように思う。
カットする度にカラーしたりパーマしたりと、美容室で予算と相談してヘアースタイルを決める事もあるはずだ。
従って、全ての国民を対象に1年に4回、その時のヘアースタイルに応じて課税を期すというのはどうだろう、時期は2月、5月、8月、11月の計4回。
基準としてはシンプルに「毛で遊んでる奴は多めに税金払えよ」てな感じ。
書いて説明するのも難しいので図解しようと思う。

<男性編>
▽¥20,000〜¥30.000納税/1回のケース

解説:これは一目瞭然だろう。もちろんカラーも納税検討の対象である。
彼のような人間をラーメン屋で見かけた事があるが、基本的に5〜6人でつるんでおり、店内の有線でEXILEなんかが流れると、頼んでも無いのに歌いだす。
2時間煮込んだ所で何もダシが出ないようなタイプ。
よってこの金額は妥当だと思われる。


▽¥150〜¥180納税/1回のケース

解説:逆に安く済むタイプ。これは分かりやすい。誰にも迷惑がかからず、恐らく地球上に生きる全ての生命が、彼に害意を感じない。よってこの金額。
目が死んでいなければ一ケタ少ない金額にも手が届いたのではないか。

▽男性で最高納税額

ちなみに、男性で最も納税額が多くなるのは恐らく彼である。
まだ完全に計算した訳ではないが、恐らく¥800,000~100,000/1回の納税が予想される。(※ちなみにJリーグカレーを食す前のマサオ君は¥0である)

<女性編>
▽¥8,000〜¥10.000納税/1回のケース

夜の街で見かけるようなこのような女性。女性には珍しくかなり高額の納税が期せられる。ちなみに着うたが西野カナである確立が高い。もしそうだとすると、¥15.000まで跳ね上がる可能性が高い。

0のケース

このような女性は恐らく免除されるケースが多いと思う。
いわゆる天使と分類されるタイプ。スポーツ選手との会食をツイートされた場合は免除の可能性有り。

-80.000-100.000のケース
 

−(マイナス)というのは、要するに国から支援金が出るケース。
恐らく世の中の98%の男性から視線を集めることになり、
彼女は少なからず負担を強いられる事になる。
ショートボブという髪型。それこそがこの国の未来を担っているのである。

以上をもって提案させて頂いた。少しは納得して頂けるのではないか。

今回の投稿は何が言いたいかと言うと……


「くせ毛はマジ大変 たすけて」ってこと。


※オマケ/海外編
文化財として国でなく、地球をあげて全力で死守しなければならないケース。


2011年8月23日火曜日

♯009 く <クレヨンしんちゃん/くれよんしんちゃん>



 クレヨンしんちゃんと聞いて思い出す事といえば、小学校中学校の時に通っていた眼科の待合室にあったコミックスのしんちゃんだ。
名前を呼ばれるまでのわずかな時間、この漫画をとても楽しく読んでいた記憶がある。
その割に、自分で買おうという思いには至らず、「なんであんなに夢中にしんちゃんを読んでいたんだ?」と頭を整理すると、そばに「婦人公論」とか「朝日芸能」「ひよこクラブ」など、おおよそ子供にとっては、全く興味が湧かないものが傍にあっただけだなと、大人になった今思う。

 しかし、今でもしんちゃんに手が伸びるような、似た感覚に陥る時がある。
それは、フラッと小汚い定食屋に入った時などによくある。
油にまみれたカウンターの端の方に積まれた雑誌に目をやると、何週前のか分からない「ヤングサンデー」と「ビックコミックスピリッツ」
そしてその中に埋もれる「ゴルゴ13の文庫版コミックス(決まって89巻とか中途半端)に手を伸ばしてしまう時。

「え?このクソラインナップ?これから選ぶの?」と思わずクレームを付けたくなるような状況でも、心情的には昔抱いた気持ちと遜色無い様に思う。

実はこういう光景って、よく見る「普通の定食屋の姿」だったりする。

子供の時に見ていたクレヨンしんちゃんの家庭、野原家はまさに「普通の家庭」だった。ひろしがいて、みさえがいて、しんちゃんがいて、ひまわりがいてシロがいる。一軒家の庭付きマイホームにマイカー。

大人になって気付いたのは、その「普通」っていうのが実はとても難しいってこと。今、思うと「普通」を支える父ちゃんって本当に凄いんだな。

 自分は中学生、高校生の時はとにかく自分の父親が「普通」である事を嫌がった。

当時、父親に対してこんな葛藤を抱いていた。
TVの中の大人は、こんなにおもしろい事を言っている」
「この本を書く大人は、こんな胸を刺すような文章を書いてる」
CDから聞こえてくるこの声は、こんなに感動する歌を歌っている」

…本当に世間知らずの子供の発想。子供は「普通」のありがたみなんか分からない。
大人になってやっと意味がわかった「普通」の父ちゃん、野原ひろしの言葉にこんなものがある。「正義の反対は悪ではない 正義の反対はまた別の正義なんだ」

こんなに芯を食っている、見事な言葉が他にあるだろうか。

この言葉にハッとしたのは「大人のあり方に自分の理想を押し付けていた」当時の自分の幼稚さに気付かされたからかもしれない。

いつだって、「普通」にやるのが一番難しい。
価値観なんて1つであるはずがないのだ。

ちなみに、野原ひろしの名言はいくつもあるが二番目に好きなのは…

「俺の靴下はジャスミンの香り!」   である。




2011年8月19日金曜日

♯008 き <銀杏BOYZ/ぎんなんぼーいず>



「え!?これ生放送だったんですか?」
これは4年前の夏、銀杏BOYZのボーカル峯田和伸が僕に向けて言った言葉だ。

 当時僕は、梅田のタワレコで今は無き「Rock the Radio」というFM osakaのラジオ番組で、WEBで流す映像を撮影する仕事をしていた。
(聞くと凄そうだが、まったく大したことなく、カメラは定点でほとんど動かさないし振らない。まぁRECボタンを押すくらいのもの)
確かバンド初のシングル「あいどんわなだい」の発売日前後くらい、ゲストに銀杏BOYZのボーカル峯田さんとドラムの村井さんが来たんだっけな。
話した内容は全く覚えてないが、記憶に残っているシーンが1つある。
番組は公開収録だったのだが、集った一般のお客さんを前に峯田さんは急に「股間に手を入れチン毛をむしり」ガラス一枚隔てたお客さんに見せつけたのである。
沸き上がる歓声を他所に、生放送という事もあり、必死で下半身を切る為に、カメラを顔にズームインしたのを覚えてる。

収録後、彼が僕に放った言葉が冒頭の言葉である。
ちなみに女性のMCとは全く目を合わせなかったのが印象的だった。

僕は銀杏BOYZが好きだ。
いや、「好きだった」というのが正しいのかもしれない。
銀杏BOYZはデビュー時に出したアルバム以降もう6年もアルバムを発表してない…。

ファンはいつだって勝手で、好きな物に対して常に理想であってほしいと願う。
好きでいさせてくれというのはエゴでしかなく、自分に合わないと思ったら、他人の粗を見つけそのせいにして安心しようとする。
「麺は伸びずに熱くいてくれ」とラーメンに願うようなものだ。
味噌ラーメンに願うようなものだ。それは分かってる。

でも、「君を連れ去って結婚式をあげよう 君のパパを殺したい」とか
「あなたがこの世界に一緒に生きてくれるなら死んでも構わない」とか
相手を想うばかりか、思いやらず、一方通行をスピード違反で駆け飛ばしていくような表現に、そして無様なまでに、なりふり構わず拳をむき出す姿に、自分は幾度となく救われた事がある。
もうダメだって思ってる人に「ダメじゃないんだよ」っていうような事でなく「ダメでいいじゃねぇか」っていうようなもの。

 要するに今日は何が言いたいかというと「いい加減早くアルバムだせよ」という話。
ここは自分のブログなので、自己かつ自慰主張的に書かせて頂く。
「好きだった」じゃなくて「銀杏BOYZが好き」って言えるような日が来るのが楽しみなのだ。だってほらHUNTER×HUNTERも連載再開したんだし。

そろそろいいじゃん。

今日は以上でござる。



2011年8月15日月曜日

♯007 か <蚊/か>


前回の6回目の更新で「あ行」が終わり、今回から「か行」
何となく1000文字以内(雑誌の1P目安)で収めたいのだが、中々に難しい。
しかし、割と読んでくれてる人もいるようなので頑張って続けたい。

今回は「蚊」について書こう。

 自分は蚊が嫌いである。というか、好きな人などいないのだが、本当に嫌いだ。
いなくなればいいのに。蚊なんていなくなればいいのに。

これを打っている瞬間も、実は太もも辺りが痒い。ムヒが手放せない。
間違ってキーボードにムヒを塗ってしまいそう。ふふ。冗談よ。

それにしても、ムヒって良く出来てるなと思う。
蚊がいなくなったら、やはりメーカーの人は困ったりするだろうな。
もしかしたら、蚊を発明した人は、ムヒの発明した人と同じ人だったりして。

 今ぐらいの季節、学生のころ、よく公園でビールをよく飲んでいた。
アサヒの「ぐびなま」が発売された時期で、学生には嬉しい、安くておいしい発泡酒だった。時にはフライドチキンを合わせて買ったりするとそれはそれはたまらなく、夏の夕方に一杯。ド即席のビアガーデン。

室内で飲むときと違い、開放感も手伝う。
日の暮れてしまわない内に2、3本流し込む事もあった。
そして、代謝が良くなった身体は蚊にとって格好の標的になり、みるみるうちに、蚊の餌食になる。そして痒くなる。

右手はビール、左手に幹部といった具合。
ひどくなれば右手は幹部、左手は幹部。いわゆるヨシダスタイル。

それにしても、あいつらのどん欲さはすごい。
何と自分の体重以上の血を吸う事もあるらしい。
年中ビアガーデン状態のやつらは、飲む為だけに生きている。
まさしく中毒者、ジャンキー。ろくでもない。2、3週間の命の間、一生中毒者。
卑下するような書き方をしているのに、その排他的な生き様になんとなくかっこ良く感じてしまった。それもムカつく。
いつか、血と間違ってコーラを飲んでしまい爆発すればいいのに。
初めて家族で行った花火も、やたら虫に刺された事を覚えてる。
なんだ、蚊の分際で思い出を運んで来てくれやがった。
刺された蚊の子孫が、世代を超えて再び自分を刺しにくるなんてあるのだろうか。

何だか気恥ずかしい文章になってしまった。
変なものを運んで来やがる。蚊のせいにしよう。
もうすぐ1000文字になってしまうのに、取り留めも無い文章になってしまった。少しは蚊の事を考えたら、好きになるかなと思ったけどそんなことはない。
もう1000文字。まとめます。僕は一生蚊が嫌い。

一言。バ蚊やろう。



2011年8月12日金曜日

♯006 お <叔父さん/おじさん> 後半




前回のブログはこちら


<後半>
主題歌になったら、ヒットが必ず約束されるというTBSのドラマからオファーが舞い込んで来た叔父さんのバンドだったが、実はオファーがあったのはそのバンド1組だけでなかった。もう1組。

それが… 大友康平率いるHOUND DOGだった。
結果、どちらがそのチャンスをモノにしたのかは言うまでもない。

叔父さんたちは掴む事が出来なかった。
その後、HOUND DOGは売れに売れ武道館を一杯にするバンドに。

そこから叔父さん達のバンドは下降の一途をたどり、、、、
あっという間に表舞台から消えてしまった。

バンドは解散。叔父さんはギターを置いた。

叔父さんは言った。
「とりあえず自分たちは、バンドをプロデュースするのがヘタだった」
「腕は誰にも負けないという自信はあったけどダメだった」と。
叔父さんは笑って話してくれたが、聞いててとても切なかった。

燃え尽きる事は出来たのだろうか。

—4年くらい前に福岡に帰った時に叔父さんはギターをくれた。
今は亡き、フェンダージャパンのテレキャスター。

スコアを買って一時は練習したりしてみたけど、
徐々に触れる機会は減り、いつの間にか置き場所を求めるインテリアになってしまった。
「似たような事をやるやつは多い。そこからどう抜きんでるかはとにかくアイディアだ」「とにかく人と違うやり方でやれ」

先日の酒の席では「自分が今やりたいこと、今思っていること」などを伝えた。
叔父さんは否定もしないけど肯定もしない。じっと話を聞いてくれた。

かけてくれた言葉は、「とりあえず好きな事をやれ」「アイディアを常に持て」
この2つの言葉は一層に強く信じ続けようと思う。

叔父さんは最後の一杯を飲み干す前に、現在仲間達とバンドをやってることを教えてくれた。
今はとにかく大好きなローリングストーンズやザ・フーの曲をカバーしてるのがたまらなく楽しいようだ。

その目は間違いなく輝いてる、そして燃えてる。

叔父さんと飲んだ翌日、東京の高円寺の自宅に戻った夜、
電気を付けたらインテリアだったホコリを冠ったギターと目が合った。

エールを鳴らしてくれているような気がする。

「好きな事をやれ」 「アイディアを持て」

明日もがんばろう。


2011年8月10日水曜日

♯005 お <叔父さん/おじさん>


先日東京から福岡に帰省した時に、母の弟である叔父さんと飲む機会があった。
僕は今年58歳を迎えるこの叔父さんの事がとても大好きである。

この叔父さんと飲むというのが、福岡に帰る理由の1つになっている。

現在は国家資格を取得し、自分の事務所を構え、かなり立派に仕事をされているのだが、若い頃は僕の母である「姉」や僕のおばあちゃんである「母」のことを
それはそれは大変困らせたらしい。

まずは「高校生の時の家出事件」

当時ギターが大好きだった叔父さんは、仲間達計3人で当時音楽の聖地 京都に家出したという。

「京都でブルースをやりたかったから」
この動機にはそれ以上の理由なんてきっとない。

今から40年以上前、1968年くらいの時の出来事。
海の向こうではマシュルームカットのお兄さんたちが「♪Let it Be(なすがままに〜)」とか歌ってた時代。

当然、福岡の実家は大騒ぎになり父親は教師ということもあり(かなり怖かったらしい)即座に警察に通報し、姉と母が捜索願を届けた。

どのくらいの期間、家出したか分からないが「高校生ブルースバンド」はすぐに警察に保護。
しかし泊める場所がないということで、警察はとんでもない行動に出る。
何と未成年、高校生である子供達を留置所の檻の中に入れられたらしい…
現在じゃとても考えられない…

迎えに行った姉(僕の母)は当時のことを「心臓が止まるかと思った」と振り返る。
向かいにはヤクザがいて「兄ちゃん達、なにやったんや」とドスの利いた声で聞いてきたのが、「未だに怖く忘れられない」なんて叔父さんは笑って話してくれた。

しかし、そんな痛い目にあっても叔父さんは、ギターが好きで好きでたまらなく、
大学進学を機に仲間と上京。そして予定通り大学は早々に辞めバンドに傾倒。
(※当時、叔父さんにとっての心の師匠はドアーズのジム=モリソン)

そして実家ではまたも行方不明扱い…

バンド活動は続き、当時はモッズやロッカーズ、シーナ&ザ・ロケッツなんかとも仲が良くて、僕が好きなバンドの1つブルーハーツとも対バンしたことがあるらしい。

僕が知りうる限り、ヒロトはインタビューで「普段着のままステージに出る」って言ってたけど、叔父さんは「ブルーハーツの連中は本番になると着替えだす」って飲んでる時笑って言ってた。
バンド自体は調子が良く、柳葉敏郎のデビューシングルに楽曲提供したり、ある程度ファンもいてバンドは勢いがあった。

「一生音楽で食っていける」バンドメンバーみんながそう思ってた。

そして、バンドに転機が訪れた。
当時、主題歌になったらヒットが必ず約束されるというTBSのドラマからオファーが舞い込んで来たのだ。 


<後半に続く>



2011年8月8日月曜日

♯004 え <エンドロール/えんどろーる>


全てのTV番組では、必ず最後に「エンドロール」が流れる。

スタッフの肩書き、名前そして取材協力者(社)など、番組に携わった人の名前をクレジットするものである。
この業界で仕事をする以前…
子供の時などは、知らない大人の名前が流れて行くだけで、ただの風景だという認識しかなかったのだが、現在、実家を離れて暮らす自分にとっては親への「無事の知らせ」みたいなものだと思っており、福岡で暮らす親はそれはそれで嬉しかったりするらしい。
番組だけに関わらず雑誌は巻末に記載されてたり、形は違えど大抵は人の作る物にクレジットがあると思う。

制作者や協力者を最後に表記するもの。それがエンドロール。

ADである自分は番組を制作する際に、テロップを入れる作業と同時にこのエンドロールを入れる作業を行う。人名や社名に関わることでスポンサーの問題もあり、必ずプロデューサーに事前に確認してもらう事が決まりになっている。

先日こんな話を聞いた。
「△△は反原発運動をしているから、来週分からはエンドロールから外すように」オトナが吐き捨てたその言葉に血の気が引いた。
どういった立場のからの「決定」かは分からないが一気に嫌な気分になった。
仮にオトナの判断が「原発反対の姿勢に頷けないから外す」という意思を持った措置なら理解出来る。
しかし、どうせその会社が「原発賛成」という運動を行なっていても、エンドロールから消すだろう。

角が立たないように。
そしてどこからも文句が出ないように。

出る杭は叩き、どこからみても非は無い様に整地する。
いつからテレビはこんなことになってしまったんだろう。
意見を持ち、意思を示すと迫害され、隠される。
消されるよりタチが悪い場合もある。

先日のフジテレビ批判による俳優の事務所解雇もいい例だ。
メディアを取り巻く環境に、余裕が無さすぎるのは何でだろう。
この根源は、不景気による予算不足だけじゃ無いような気がする。
こんな小さい国の中で、みんなで足を引っ張り合った挙げ句、もし将来的にTV番組が消えるときがあるとすれば…

最後のエンドロールはどんなものになるだろう。
誰もが乗るのを嫌がって、拒絶するようなものになってなきゃいいけど。

TV番組全体が、ただの風景になるのは絶対に食い止めなければいけない。

2011年8月3日水曜日

♯003 う <ウッチー/うっちー>

TVの業界で働く為に上京して、間もなく3年が経つ。
かつて、自分は大阪の専門学校に通っていて、その当時の仲間は、今やほとんどTVの業界ではなく別の道に進んでいる。
その中で唯一、同期の内田君は現在フジテレビの某番組でADとして頑張っている。今回はそのウッチーこと内田君の事を書く。

ウッチーは一言で言うとデブだ。
デブ。DEBU

甘いものは嫌いだがデブ。
でもガムは好き。デブだ。

大概の人は、彼を一目見たらデブだと脳に信号を送る。

デブの明確な基準は無いが、まだ生後間もない赤ん坊が彼を見ても「デブだ」と言葉を放つし、今、この文章を読めるほどの視力をお持ちのあなたならきっと、2500mほどの距離であれば、彼を視界に捉えるとデブと認識出来る。
そのくらいのデブ。俗にいうデブなのだ。he is the fat man
しかし、その愛くるしい風貌に加え人柄もいいものだから、
仲間内(※男限定)には大層な人気がある。

とにかくデブをネタにしてもキレない。優しい漢なのだ。

ADというのは上司であるディレクターにボロクソ言われることも多く、
自分みたいな器の小さい男は、よくムカついているがウッチーは違う。
怒らない。

以前ウッチーにこんなことがあった。
バラエティー番組のロケで「とある芸人」を密着するという企画で、
ADの手違いで芸人を1人でラブホテルに宿泊させてしまうことになる。
その結果、芸人は1人さびしくラブホで過ごして朝を迎えるという台本。

オチの部分である、芸人が1人ラブホで朝を迎えるというシーンの撮影を任されたウッチーは時間経過が分かる様に夜中、朝焼け両方のシーンでホテルの窓際にたたずむ芸人の撮影に、「ホテルを挟んだ向いの路上」からトライしたのだが、その夜中に事件は起きた。
ラブホテルの前で三脚を立てレンズを覗き窓際を追うウッチーに背後から、、
「おい、何をしてるんだ!」の声。

そう警察官の登場だ。
「番組の名前を出すわけにはいかない」と思ったウッチーは間髪入れず

ウ「イヤ、何もないスよ」
警「そんなわけないだろう!そのカメラは何だ」
ウ「何もナイッスて」
警「いいから見せなさい」
ウ「……」

押収されるカメラとテープ。その場で再生、プレビュー。
…そこには窓にズームしたり、パンしたりと必要以上に何か意図が見えるカメラワーク。

増える疑惑に震えるデブ。

「終わった」と思ったに違いない。
しかし警察は続ける。
警「君、素人じゃないだろ。許可は取ってるのか?これは盗撮といって、、、」

容赦ない国家権力に完璧な物証を挙げられ、言い返さないデブ。

その後、ウッチーは前足に手錠をかけられ文字通りブタ箱に連行。

ポケットではディレクターから経過を尋ねる電話が鳴り響く。出れるはずも無い。
署に着き事情徴収が始まり、責任感からか身元を明かさず、ただひたすら場が収束する事を願うデブ。
しかし国家権力は犯罪者(?)にはキツく、彼の持ち物からヒントを得て実家へTEL。そこでようやくテレビ番組を制作していることが分かり、何とか便宜を図ってもらい釈放されたウッチー。だがその時には既に日は昇り朝10時。

そこにディレクターの電話。
さあすがに心配した様子で「何かあったのか?」と聞いてくる
「いや実は××が××で、、、」と事情を説明する。

そこでディレクターが一言「それはお前大変だったな、、、で、朝焼けは?」

ウッチはーは怒らない。
この状況で怒らないウッチー。ただのデブじゃないことが窺い知れよう。


そんなウッチーに一度「キレたことはないの?」と聞いた事がある。
その時に彼はこう答えた。
『昔さ、風邪をこじらせ病院に行ったんスよ。そしたら医者からは「とにかく甘い物を控えなさい」とかってさ!いや、俺甘いの苦手なんだから食わないっつてんだよ!!あん時はキレたっすわ』

これからもがんばろうぜ☆ ウッチー!