2011年10月9日日曜日

♯012 さ <裁判/さいばん>




先日読んだ漫画「裁判長!僕の弟懲役4年でどうですか」が心に響く物があり、かねてから興味を抱いていた裁判の傍聴に行って来た。

丸の内線、霞ヶ関駅で降り東京高等裁判所に歩を進める。 
8分後、正面玄関から建物に入り、開廷表(今日はこんな裁判やりますよ〜の一覧表)に目をやる。
関心の湧く審理に目星を付け、裁判所の法廷に入り、傍聴席に腰を下ろす。
ここまで来るとやはり緊張感が走る。

この場所でで何千人、何万人という人が裁かれていったのだと思いを馳せると背筋は伸びる気がするし、加えて鼻毛は縮む気がする。
独特な雰囲気が身体に伝わり萎縮。場違い感に苛まれるが気にしない。
自分以外の傍聴人は3人。勉強にでも来たのだろうか、若く、賢そうな男子学生(?)。次に奇麗な女性。被告人の身内なんだろうか。(顔はこわばり最前列に座っていることからそう感じた)
そしてもう1人、こいつはきっと傍聴マニアなんだろう。
何となく場の雰囲気に馴染む程の貫禄があり、手元には小さいメモ帳。
それの表紙と背中をがくっつく形で折っていることから、かなりのマニア度が伺える。

 
不思議なもんで、人はこういう時でさえ、自分より「下」を探しホッとしたがる。
あうあうあー。



—公判が始まった。

裁判官が入って来て更に背筋が伸びる。縮む縮む、鼻毛は縮む。
彼のあまりの迫力に、イスに尻込む。
指を指され、「君、法廷にサンダルはないだろう!禁固2日間!」などと言われたら思わず牢屋に飛び込んでしまいそうだ。
次に被告人が入ってくる、男。…若い。かなり若いぞ。
ハタチくらいじゃないか。
一見、イマドキの若者で、普通に人生を歩んでいたら霞ヶ関なんかにくるようなタイプじゃない。
それこそ霞ヶ関では降りずに終着駅の池袋にいるような感じだ。
言い方は悪いが常日頃、マクドナルドに長時間居座るタイプ。店員にはタメ口の確率が高そうだ。恐らく87%。
しかし、彼は今、犯罪を犯し裁かれる立場に。日常からはかけ離れてしまった。

裁判が始まり、まずは被告人の人定質問(自己紹介みたいなもん)次に、裁判官に促され、検察官の出番。被告人の罪を読み上げる。

……要約すると被告人の罪は、「レンタルビデオ店の延滞料金を支払わないこと」
金額にしておよそ80万円。
そんな事くらいでと思うかもしれないが金額が大きい事に加え、常習者である彼は被告人と呼ばれ実際に法廷に立たされている。超現実、シュルレアリズムの極地である。

検察官は続ける。
『被告人※※※が●●月●●日に△△の△△店で借りたDVDソフトの計3本、作品名´グリーンマイル´ エスカレートするドしろうと娘vol.45´ ´もののけ姫´をレンタルした際、お店側に指定された××月××日の返却日を守らず……』

ちょっと待った。これはサンドイッチ作戦だ。
サンドイッチ作戦とは、レンタルビデオ店若い男性が訪れた際、良くやる戦法で、
エッチなDVDを名作映画で挟みレジカウンターに提出するやり方だ。
特に女性店員への気配りに富み、これは紳士的行為とされている。
何だろう、急に親近感が沸き、被告人の弁護人を勝って出たくなった。

しかし、そんな事は許されずもう1人の紳士は傍聴席のまま。
それにしてもタイトルまで暴露されるとはさすが法治国家。
この事実は大きな抑止力となるはずだ。


今回は第一回の公判ということで被告の「間違いありません」という一声を持って、罪状認否だけで終わったが、非常に貴重な体験が出来た気がする。
この裁判の続きを狙って傍聴に来るのは至難の業だろうが、ぜひもう一度来てみたい。


最後に、こういった日常では味わうことが出来ない空間に身を置く事は非常に色々考える機会を与えてくれる。今後も時間の許す限り、非日常を覗きにやってきたいと強く思った。








……というような事を今日はブログで書こうと思ったら今日は休日。
裁判の傍聴はやってませんでした。

想像で書いちゃった。
今日は以上であります。